第3回 山里俳句コンテスト

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一般部門

最優秀賞(岡崎市長賞)

ミツマタの花で誘ひし旧き友
石川 みはる (岡崎市大平町)

石川 みはる
石川 みはる

およそ35年前、10か月になる息子を抱いて、主人の両親の住む岡崎市に引っ越してきました。
誰も知り合いはなく心細かった私に、近所の3人の男の子のママであるOさんが、すぐにうちとけて友達になってくれたので、それからは毎日のように一緒に楽しい子育てをしていました。
6年後、私もOさんに続いて3人の男の子の母となったのですが、それからはそれぞれ子育てや仕事、介護などで忙しい日々を送り、いつしかゆっくり会うこともなくなっていました。
そんな時にミツマタの花のイベントがあることを知り、ぜひOさんと一緒に行きたくなりお誘いしたところ、快く行ってくれることになりました。
3月も終わりの暖かい春の日でした。
田んぼの横に流れる小川のせせらぎの音を聴き、畦道に生えているツクシやショウジョウバカマを発見しつつ歩いていると、30年前の子育て時代にタイムスリップしたようでした。
30分程歩いて到着したのは、まさに桃源郷のような、黄金色の花が光り輝くミツマタの群生地。
感動と共に話にも花が咲きました。
ミツマタの花のおかげで旧交を暖めることができて、ほんとうによかったです。

優秀賞(岡崎市議会議長賞)

三椏の花群れ雪崩る桃源郷
小野 智輔 (大分県大分市)

優秀賞(岡崎市教育委員会賞)

年を経て里の猪垣なほ堅固
松田 なごみ (千葉県千葉市)

地元賞(東海愛知新聞社賞)

校庭や搗く手返す手師走入り
荻野 弥生 (岡崎市木下町)

入選

寸五郎坂かすかに覚ゆ初しぐれ
太田 風子 (岡崎市朝日町)

太田 風子
太田 風子

アート展で『いいじゃん 千万町 木下』のパンフレットをいただいた時、「寸五郎坂」の字を目にしました。なぜかとても懐かしい。私の中に眠っていた五〜六十年前の記憶の種が、動き始めたのです。脳の中で化学反応を起こしたというべきでしょうか。〜かすかに覚ゆ〜と発語したのです。私は十五歳で家を出て二十一歳でアメリカに渡りその五十年後に戻ってきました。懐かしことばかりです。季語「初しぐれ」はその嬉しさを表現したかったからです。

土の香はいにしえ人の醸す夢
河合 博昭 (岡崎市明見町)

茄子畑さると私のにらみ合い
加藤 恵子 (岡崎市木下町)

主亡き庭にポツンと花梨の実
荻野 セツ (岡崎市千万町町)

子ども部門(小中学生)

子ども賞(中日新聞社賞)

けい古あと出会ってびっくり夜の鹿
竹下 杏奈 (岡崎市中金町)

審査委員長賞

春になりいつもの山もおしゃれかな
竹下 和 (岡崎市中金町)

入選

ミツマタの花咲きほこる千万町
荻野 琴羽 (岡崎市木下町)

たまいれの玉跳ね返す積乱雲
水野 結雅 (名古屋市昭和区)


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